無限級数メモ#3〈Leibniz の公式(ライプニッツ――)〉


今回は次の
\[
\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{2n+1} = 1-\frac{1}{3} + \frac{1}{5}-\frac{1}{7} + \cdots
\]
をはじめとしたいくつかの無限級数の値を求めてみる.この頁は内容が密になりそうだったので,広く浅く進める.誘導つき問題形式のメモにした.

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さて,上の級数はいくつかの名称がある.もっともよく目にするのはおそらく Leibniz の公式(ライプニッツ――)という名称だと思われるが,Mādhava-leibniz 級数(マーダヴァ――)や Gregory の級数(グレゴリー――)と呼ばれることもある.最初に発見したのは Mādhava であり,その300年後に Leibniz と Gregory がそれぞれ独立に再発見したという説が有力なようだ.

また,知っている人も(あるいは級数の形から気がついた人も)いるかもしれないが,多少融通を効かせるためには「逆三角関数」が必要になる.最後に簡単な補足を入れているが,今回はその点は強引に突破したので,目をつぶって頂きたい.

準備

次のような関数 $f(x)$ を考える.$f(x)$ は
\[
-\frac{\pi}{2} < f(x) < \frac{\pi}{2} \] であって,任意の $x$ に対して \[ x = \tan{y} \] を満たすような $y$ の値を返す.たとえば \[ f\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right) = \frac{\pi}{6}~,~~~f(1) = \frac{\pi}{4}~,~~~f(\sqrt{3}) = \frac{\pi}{3} \] が成り立つ.

関数 $f(x)$ が定義出来ているかを確認しておく.たとえば
\[
1 = \tan{y}
\]
を満たす $y$ の値は
\[
y = \frac{\pi}{4},~~\frac{5\pi}{4},~~\frac{9}{4}\pi,~~~\cdots
\]
のように無数にあるが,$f(x)$ の値域を
\[
-\frac{\pi}{2} < f(x) < \frac{\pi}{2} \] に限定しているから, \[ y = \frac{\pi}{4} \] だけが $ x $ の値となり得る.ほかのどのような $ x $ に対しても $ y $ はただ1つ定まる.

問題

以下の問における $f(x)$ は,上の準備で定めた関数 $f(x)$ を表すものとする.

Question1.1
$ a $ は $0 < a \leqq 1$ を満たす定数とする.数列 $\{a_n\}~~(n = 1,2,3,\ldots)$ を \[ a_n = \int_{0}^{a} \frac{x^{2n}}{x^2 + 1}\,dx \] で定める. (1) $a_1$ を $a,~f(a)$ を用いて表せ.
(2) $\displaystyle{\lim_{n \to \infty}a_n = 0}$ を示せ.

(3) $a_{n+1} + a_n$ を $ n $ と $ a $ の式で表せ.

(4) $\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}(-1)^{n}(a_{n+1}+a_n)$ を $f(a)$ の式で表せ.

(5) 無限級数
\[
\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^n}{2n+1}
\]
の値を求めよ.

解答

$(1)$ 解答


$(2)$ 解答



$(4)$ 解答


$(5)$ 解答


その他の級数の値

$ a $ に幾つかの値を代入して次の結果を得る.
\[
\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{(2n+1) \cdot (-3)^n} = \frac{\sqrt{3}}{6}\pi~,~~~\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{(2n+1) \cdot (5-2\sqrt{5})^n} = \frac{\sqrt{5-2\sqrt{5}}}{5}\pi
\]
これはそれぞれ
\[
f(a) = \frac{\pi}{6}~~,~~~\frac{\pi}{5}
\]
となるような $ a $ を代入した結果である.

逆三角関数についての補足

今回の準備の段階で用意した関数を $y = f(x)$ と表すと,$ x $ と $ y $ の対応は1対1であったから,これは $ y = \tan{x} $ の逆関数となっている.この関数を
\[
\tan^{-1}{x}~~~,~~~\arctan{x}
\]
などと表す.古い教材では流儀が多少異なることもあるようだが,基本的には
\[
\tan^{-1}{x} \neq \frac{1}{\tan{x}} = (\tan{x})^{-1}
\]
である.逆数を表すときにはこのままでは紛らわしいので
\[
\frac{1}{\tan{x}} = \cot{x}
\]
と表すことで回避することが多い.さて,上の表記を用いれば,今回導いた結果は
\[
\arctan{x} = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{(-1)^n}{2n+1}x^{2n+1}~~~~(0 \leqq x \leqq 1)
\]
となる.ここで,もっともらしくするために$ a $ を $ x $ で置き換えた.また,$ x = 0 $ は問題では考えていないが,自明なので定義域にいれてある.これは関数 $\arctan{x}$ の Maclaurin 展開の式にほかならない.ただし,本来の定義域は $-1 \leqq x \leqq 1$ であったはずであるから,この問を通じて,制限付きで展開の結果を得られたということである.


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