無限級数・広義積分に関する定理


無限級数・広義積分の計算でよく用いる定理についてまとめたノート.

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無限級数

Define 0.1(交代級数)

正の項と負の項が交互に現れる級数を交代級数 という.

 
Theorem 0.2(交代級数の収束)

実数列 $\{a_n\} ~~ (n = 1 , 2 , 3 , \dots)$ が
\[
a_n > 0,\qquad a_1 > a_2 > a_3 > \dots , \qquad \lim_{n \to \infty}a_n = 0
\]
を満たすとき,交代級数
\[
\sum_{n=1}^{\infty}(-1)^{n-1}a_n
\]
は収束する.

 

べき級数

Define 1.1(べき級数)

実数列 $a_n~~(n=0,1,2,\dots)$ に対して
\[
\sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n
\]
の形の無限級数を $0$ を中心とした べき級数 という.

 
Define 1.2(収束半径)

べき級数
\[
\sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n
\]
に対して

$|x| < R$ で絶対収束するような $R>0$ が存在するとき,$R$ を 収束半径 という.ただし,このような $R$ が存在しない次のような場合について

  • べき級数が $x = 0$ でのみ収束するとき,$R = 0$
  • べき級数がすべての実数 $x$ で絶対収束するとき,$R = \infty$
  • と約束する.したがってすべてのべき級数に対して収束半径 $R$ が存在して,$R \geqq 0$ または $R = \infty$ である.

     
    Theorem 1.3

    べき級数が $x = \alpha \neq 0$ で収束するとき,収束半径 $R$ は $R < |\alpha|$ を満たす.

     
    Theorem 1.4

    \[
    f(x) = \sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n
    \]
    とおく.右辺のべき級数の収束半径が $R$ であるとき,$f(x)$ は $-R < x < R$ で連続である.

     
    Theorem 1.5(Abel)

    \[
    f(x) = \sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n
    \]
    とおく.右辺のべき級数の収束半径が $R$ であり,$x = R$ でも収束するならば,$f(x)$ は $-R < x \leqq R$ で連続である.$x = -R$ でも収束するならば、$f(x)$ は $-R \leqq x < R$ で連続である.

     
    Theorem 1.6(項別微分定理)

    \[
    f(x) = \sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n
    \]
    の右辺のべき級数の収束半径を $R$ とする.$f(x)$ は $-R < x < R$ で微分可能であり
    \[
    f'(x) = \frac{d}{dx}\left(\sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n\right) = \sum_{n=0}^{\infty}a_n\frac{d}{dx}x^n = \sum_{n=1}^{\infty}na_nx^{n-1} = \sum_{n=0}^{\infty}(n+1)a_{n+1}x^{n}
    \]
    が成り立つ.

     

    すなわち,収束半径の内側では微分と無限和の交換が可能であることが保証される.

     
    Theorem 1.7(項別積分定理)

    \[
    f(x) = \sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n
    \]
    の右辺のべき級数の収束半径を $R$ とする.$-R < a , b < R$ を満たす $a,\,b$ に対して
    \[
    \int_{a}^{b}f(x)\,dx = \int_{a}^{b}\left(\sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n\right)\,dx = \sum_{n=0}^{\infty}a_n\int_{a}^{b}x^n\,dx = \sum_{n=0}^{\infty}\frac{a_n}{n+1}(b^{n+1} – a^{n+1})
    \]
    が成り立つ.

    すなわち,収束半径の内側では積分と無限和の交換が可能であることが保証される.

     

    微分・積分の順序交換/一様収束

     
    Theorem 2.1(微分と積分の順序交換 I)

    $D = \{x \in \mathbb{R} \mid a \leqq x \leqq b\}$ と区間 $I \subset \mathbb{R}$ に対して,$2$ 変数関数 $f(x,t)$ が $D \times I = \{(x,t) \mid a \leqq x \leqq b , \, t \in I\}$ で連続ならば
    \[
    F(t) = \int_{a}^{b} f(x,t)\,dt
    \]
    は連続である.さらに $\partial f/\partial t$ が $D$ で連続ならば,$F(t)$ は $D$ で連続かつ $D \setminus \overline{D}$ で微分可能であり
    \[
    \frac{d}{dt}F(t) = \int_{a}^{b}\frac{\partial}{\partial t}f(x,t)\,dx
    \]
    が成り立つ.

     
    Theorem 2.2(WeierstrassのM判定法)

    $I \subset \mathbb{R}$ を区間とする.$2$ 変数関数 $f(x,t)$ は $\{(x,t) \mid a \leqq x , \, t \in I\}$ で連続であり,条件

    \[
    |f(x,t)| \leqq M(x) \quad (x \geqq a, \, t \in I)
    \]
    かつ
    \[
    \int_{a}^{\infty}M(x)\,dx < + \infty
    \]
    を満たす関数 $M(x)$ が存在するならば,広義積分
    \[
    F(t) = \int_{a}^{\infty} f(x,t)\,dx
    \]
    は区間 $I$ で一様収束する.

     
    Theorem 2.3(積分の順序交換)

    $I \subset \mathbb{R}$ を区間とする.$2$ 変数関数 $f(x,t)$ は $\{(x,t) \mid a \leqq x , \, t \in I\}$ で連続であり,広義積分
    \[
    F(t) = \int_{a}^{\infty} f(x,t)\,dx
    \]
    が区間 $I$ で一様収束するとき,$F(t)$ は区間 $I$ で連続であり,有限閉区間 $\{x \subset I \mid r \leqq x \leqq s\}$
    に対して
    \[
    \int_{r}^{s}F(t)\,dt = \int_{r}^{s} \left(\int_{a}^{\infty}f(x,t)\,dx\right)\,dt = \int_{a}^{\infty}\left(\int_{r}^{s}f(x,t)\,dt \right)\,dx
    \]
    が成り立つ.

     
    Theorem 2.4(微分と積分の順序交換 II)

    $I \subset \mathbb{R}$ を区間とする.$2$ 変数関数 $f(x,t)$ は $D = \{(x,t) \mid a \leqq x , \, t \in I\}$ で連続であり,広義積分
    \[
    F(t) = \int_{a}^{\infty} f(x,t)\,dx
    \]
    がすべての $t \in I$ で収束しているとする.さらに
    \[
    \frac{\partial}{\partial t}f(x,t)
    \]
    が $D$ で連続であって
    \[
    G(t) = \int_{a}^{\infty}\frac{\partial}{\partial t}f(x,t)\,dx
    \]
    が $I$ で一様収束するとき,$F(t)$ は $I$ で連続かつ $I \setminus \overline{I}$ で微分可能であり
    \[
    F'(t) = G(t)
    \]
    が成り立つ.

     

    Fourier級数

    Define 3.1(Fourier級数)

    $f(x)$ を $-\pi \leqq x \leqq \pi$ で区分的に連続な関数とする.このとき

    \[
    a_n = \frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi}f(x)\cos{nx}\,dx, \qquad b_n = \frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{\pi}f(x)\sin{nx}\,dx
    \]
    に対して
    \[
    \frac{1}{2}a_0 + \sum_{n=1}^{\infty}\bigl(a_n\cos{nx} + b_n\sin{nx}\bigr)
    \]
    を $f(x)$ の Fourier級数 という.また,$a_n, \, b_n$ を Fourier係数 という.

     
    Theorem 3.2(Fourier級数の収束条件 I)

    $f(x)$ を $-\pi \leqq x \leqq \pi$ で区分的に連続かつ $-\pi < x < \pi$ で区分的に微分可能な関数を周期 $2 \pi$ に拡張した関数とする.$f(x)$ のFourier級数を $S(x)$ と表すとき,$-\pi \leqq x_0 \leqq \pi$ に対して
    \[
    S(x_0) =
    \begin{cases}
    f(x_0) & \text{( $f(x)$ は $x = x_0$ で連続)} \\ \\
    \displaystyle \frac{1}{2}\left( \lim_{x \to x_0 – 0}f(x) + \lim_{x \to x_0 + 0}f(x) + \right) & \text{( $f(x)$ は $x = x_0$ で不連続)}
    \end{cases}
    \]
    が成り立つ.

     

    この定理より,$f(x)$ が $-\pi \leqq x \leqq \pi$ 連続な偶関数であれば $f(x) = S(x)$ が成り立ち,連続な奇関数であれば端点 $x = \pm \pi$ での値が
    \[
    \frac{f(-\pi) + f(\pi)}{2}
    \]
    となることに注意すればよい.

     
    Theorem 3.3(Persevalの等式)

    $f(x)$ を $-\pi \leqq x \leqq \pi$ で区分的に連続な関数とする.$f(x)$ のFourier係数を $a_n, \, b_n$ とするとき
    \[
    \sum_{n=-\infty}^{\infty}(a_n^2 + b_n^2) = \frac{2}{\pi} \int_{-\pi}^{\pi}|f(x)|^2\,dx
    \]
    が成り立つ.ただし
    \[
    \sum_{n = -\infty}^{\infty}(a_n^2 + b_n^2) = \lim_{N \to \infty}\sum_{n = -N}^{N}(a_n^2 + b_n^2)
    \]
    のように対称に部分和をとるものとする.

     

    $a_{-n} = a_n , \, b_{-n} = -b_n$ に注意すれば,上の式は
    \[
    \sum_{n=1}^{\infty}(a_n^2 + b_n^2) = \frac{1}{\pi} \int_{-\pi}^{\pi}|f(x)|^2\,dx-\frac{a_0^2}{2}
    \]
    となる.

     

    20190526 更新


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