n項間の漸化式#2
$4$ 項間漸化式
\[
a_{n+3} = -2a_{n+2} + a_{n+1} + 2a_n-1, \quad a_1 = 1, \quad a_2 = 2, \quad a_3 = 3
\]
で定められる数列 $\{a_n\} \quad (n=1,2,3,\ldots)$ の一般項を行列を使わないで求める手順を載せる.
行列を用いた一般的な解法は以下のノートで扱っている:
計算
与えられた漸化式を変形すると
\[
a_{n+3}-a_{n+1} =-2(a_{n+2}-a_{n})-1
\]
であるから
\[
\left\{
\begin{array}{lll}
a_{n+4}-a_{n+2} & = & -2(a_{n+3}-a_{n+1}-1) \\
& = & -2\{-2(a_{n+2}-a_n)-1\}-1 \\
& = & 4(a_{n+2}-a_n)+1 \\ \\
a_{n+4}-4a_{n+2} & = & -2(a_{n+3}-a_{n+1}-1)-3a_{n+2} \\
& = & -2\{-2(a_{n+2}-a_n)-1\}-1-3a_{n+2} \\
& = & a_{n+2}-4a_n+1
\end{array}
\right.
\]
すなわち
\[
\left\{
\begin{array}{l}
a_{n+4}-a_{n+2} = 4(a_{n+2}-a_n)+1 \\ \\ \tag{$\clubsuit$}
a_{n+4}-4a_{n+2} = a_{n+2}-4a_n+1
\end{array}
\right.
\]
が成り立つ.ここで,$\{a_n\}$ を添字の偶奇によって以下のように2つの数列 $\{b_n\},\{c_n\}$ に分割する.
\[
a_n = \begin{cases}
b_{(n+1)/2} & \text{( $n$ が奇数)} \\
c_{n/2} & \text{( $n$ が偶数)}
\end{cases}
\]
先に得られた漸化式 $(\clubsuit)$ より
\[
\left\{
\begin{array}{l}
b_{n+2}-b_{n+1} = 4(b_{n+1}-b_{n}) + 1 \\ \\ \tag{$\heartsuit$}
b_{n+2}-4b_{n+1} = b_{n+1}-4b_{n} + 1
\end{array}
\right.
\]
\[
\left\{
\begin{array}{l}
c_{n+2}-c_{n+1} = 4(c_{n+1}-c_{n}) + 1 \\ \\ \tag{$\spadesuit$}
c_{n+2}-4c_{n+1} = c_{n+1}-4c_{n} + 1
\end{array}
\right.
\]
が成り立つから
補足(click)
数列 $\{a_n\}$ は
\[
a_1, a_2, a_3, a_4, a_5, a_6, \ldots \longrightarrow b_1, c_1, b_2, c_2, b_3, c_3, \ldots
\]
のように置き換えられる.したがって $\{a_n\}$ では1つ飛ばしの項との関係を示す漸化式であった $(\clubsuit)$ が,$\{b_n\},\{c_n\}$ では隣同士の項との関係を示す漸化式 $(\heartsuit),(\spadesuit)$ となる.
$(\heartsuit)$ の1つ目の漸化式は
\[
b_{n+2}-b_{n+1} + \frac{1}{3} = 4\left(b_{n+1}-b_n + \frac{1}{3}\right)
\]
と変形できる.いま
\[
b_2-b_1 + \frac{1}{3} = a_3-a_1 + \frac{1}{3} = \frac{7}{3}
\]
であるから
\[
b_{n+1}-b_n = \frac{1}{3}(7\cdot 4^{n-1}-1) \tag{$\heartsuit’$}
\]
が成り立つ.$(\heartsuit)$ の2つ目の漸化式は
\[
b_{2}-4{b_1} =-1
\]
であるから
\[
b_{n+1}-4b_{n} = n-2 \tag{$\heartsuit”$}
\]
が成り立つ.$(\heartsuit’)-(\heartsuit”)$ を計算して
$$
\begin{eqnarray*}
3b_{n} & = & \frac{1}{3}(7 \cdot 4^{n-1}-3n + 5) \\
b_{n} & = & \frac{1}{9}(7 \cdot 4^{n-1}-3n + 5)
\end{eqnarray*}
$$
を得る.$(\spadesuit)$ の漸化式からは
\[
c_{2}-c_{1} + \frac{1}{3} = -\frac{14}{3}, \quad c_{2}-4c_1 = -11
\]
に注意すれば,$(\heartsuit)$ と同様に計算して
\[
c_n = \frac{1}{9}(-14 \cdot 4^{n-1}-3n + 35)
\]
を得る.ところで,$\{b_n\},\{c_n\}$ の定め方によれば
\[
a_n = \left\{
\begin{array}{lc}
\frac{1}{18}(7\cdot 2^{n}-3n+7) & \text{( $n$ は奇数)}\\ \\
\frac{1}{18}(-7\cdot 2^{n}-3n+70) & \text{( $n$ は偶数)}
\end{array}
\right.
\]
であるから奇数項と偶数項での違いは $2^n$ の正負と,定数項が $7$ か $70$ かだけであると判る.奇数項で値が $7$ ,偶数項で値が $70$ となるような数列を求めると
\[
\frac{77}{2} + \frac{63}{2}(-1)^{n}
\]
である.したがって
\[
a_n = \frac{77-14(-2)^n +63(-1)^n-6n}{36}
\]
を得る.
20180511 更新
choko
2018年5月10日 @ 4:43 PM
a[n+3]=a[n+2]+a[n+1]-a[n]
a0=0,a1=-1,a2=1
の答えを教えてほしい
TMyuki
2018年5月11日 @ 2:14 PM
ありがとうございます.数日中に掲載させていただきます.