x^x の極限
以下の3つの極限
\[
\lim_{x \to \infty}\frac{\log{x}}{x}=0 , \quad
\lim_{x \to +0} x\log{x}=0 , \quad
\lim_{x \to +0} x^x=1
\]
をl’Hospitalの定理を用いずに示す手順をまとめた.
$\log{x}/x$ の極限
\[
\lim_{x \to \infty}\frac{\log{x}}{x} = 0
\]
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\[
f(x) = 2\sqrt{x}-\log{x}
\]
とおく.
\[
f'(x) = \frac{\sqrt{x}-1}{x} \geqq 0 \quad (x \geqq 1)
\]
であるから,$f(x)$ は $x\geqq 1$ でつねに増加する.したがって
\[
2\sqrt{x}-\log{x} = f(x) \geqq f(1) = 2
\]
が成り立つ.ゆえに
\[
2\sqrt{x} \geqq 2 + \log{x} > \log{x}
\]
を得る.また,$x \geqq 1$ で $\log{x} \geqq 0$ であることに注意すれば
\[
0 \leqq \log{x} \leqq 2\sqrt{x}
\]
が成り立つ.不等式の両辺に $1/x$ を掛けて
\[
0 \leqq \frac{\log{x}}{x} \leqq \frac{2}{\sqrt{x}}
\]
を得る.$x \to \infty$ の極限をとれば,はさみうちの原理より極限は収束して
\[
\lim_{x \to \infty} \frac{\log{x}}{x} = 0
\]
となる.
$x \log{x}$ の極限
\[
\lim_{x \to +0} x\log{x} = 0
\]
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先の結果より
\[
\lim_{t \to \infty} \frac{\log{t}}{t} = 0
\]
である.ここで
\[
t = \frac{1}{x}
\]
とすると,$t \to \infty$ のとき $x \to +0$ であって
\[
0 = \lim_{t \to \infty} \frac{\log{t}}{t} = \lim_{x \to +0} \frac{\log{(1/x)}}{1/x} = \lim_{x \to +0} -x\log{x}
\]
である.したがって極限は収束して
\[
\lim_{x \to +0} x\log{x} = 0
\]
となる.
$x^x$ の極限
\[
\lim_{x \to +0} x^x = 1
\]
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対数の性質を用いれば
\[
0 = \lim_{x \to +0}x \log{x} = \lim_{x \to +0}\log{x^x}
\]
である.ゆえに極限は収束して
\[
\lim_{x \to +0} x^x = 1
\]
となる.
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連続な関数 $f(x)$ に対して
\[
\lim_{x \to a}g(x) = g(a) ~\Longrightarrow~ \lim_{x \to a}f(g(x)) = f(g(a))
\]
が成り立つという事実を用いた.
20190522 更新