無限級数・広義積分に関する定理
無限級数・広義積分の計算でよく用いる定理についてまとめた.
Stirling の近似公式の1つ
\[
\lim_{n \to \infty} \frac{n!}{\sqrt{2\pi n}(n/e)^n} = 1
\]
を Wallis 積分を利用して導出する方法についてまとめた.
$n$ 次実正方行列 $A$ の各固有値の重複度と,対応する固有空間の次元が一致するとき(あるいは $A$ が $n$ 個の1次独立な固有ベクトルをもつとき),$A$ は対角化可能(diagonalizable)である.一方,$A$ が対角化可能でないときでも,$A$ を上三角化(triangular)することができる.すなわち
\[
P^{-1}AP = \left[
\begin{array}{ccccc}
\lambda_1 & & & & \\
&\lambda_2 & & \ast &\\
& & \ddots & \\
& 0 & & \ddots & \\
& & & & \lambda_n
\end{array}
\right]
\]
なる正則行列 $P$ が存在する.ここで $\lambda_i~~(i = 1,2,\ldots ,n)$ は $A$ の固有値.
この $P$ が存在することを証明したものはよく見かけるが,実際に計算した例を見ることは少ない気がする.難しいことは考えずにとりあえず Jordan 標準形を構成してしまえば,それが上三角化行列になるからだろうか.
今回は正則行列 $P$ によって(Jordan 標準形を前提とせずに)上三角行列を構成するための手順をまとめた.
$P$ が存在することの証明はせず,途中の計算も大幅に省略した.なお,さらに強い条件として $P$ を直交(ユニタリ)行列にすることもできる(Schur分解).
Mercator 級数
\[
\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n-1}}{n} = 1-\frac{1}{2} + \frac{1}{3}-\frac{1}{4} + \cdots
\]
が $\log{2}$ に収束することを示すいくつかの手順をまとめる.
自然数の平方数の逆数の和
\[
\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^2} = \frac{1}{1^2} + \frac{1}{2^2} + \frac{1}{3^2} + \cdots
\]
を Wallis 積分を利用して求める手順をまとめた.
円周率に関する Leibniz の公式
\[
1-\frac{1}{3} + \frac{1}{5}-\frac{1}{7} + \cdots = \frac{\pi}{4}
\]
と関連する級数の値の導出について,いくつかの手順をまとめた.